ハイトーンカラーのオーダーが増える中、「結局、どのブリーチ剤が一番いいの?」と悩む瞬間はありませんか?
今回は、定番のハイパワー系から、ロングセラー商品まで、各メーカーのブリーチ剤の徹底比較を行いました。
デザインのクオリティを両立するための情報を詳しく解説していきます。
なぜ「使い分け」が必要なのか?
「とにかく抜ければいい」という時代は終わりました。
複雑な履歴修正、繊細なリタッチ。
これらを両立するには、薬剤の「性格(スペック)」を深く理解する必要があります。
リフト力の深層分析:瞬発型か、持続型か?
ブリーチ剤は、反応速度のカーブ(グラフ)によって使いどころが劇的に変わります。
瞬発力・ハイトーン特化型
バージン毛を一気に明るくしたい時や、硬毛・赤みの強い髪に最適です。
ウエラ ブロンダープレックスH
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スペック
30分で最大約16レベルまでリフト可能。
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特徴
リンゴ酸(プレックス成分)に加え、天然由来の「トリプルシュガーコンプレックス(アルギン酸・キサンタンガム・ソルビトール)」を配合。
脱色スピードが非常に速い一方で、オイルコーティングにより乾燥を防ぎ、ブリーチ力を落とさずに反応させ続ける設計で
タマリス パウダーブリーチ
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スペック
初速が非常に速く、短時間で「ガツン」と抜けます。
注意点:溶解性や密着性は後述の「フローム」に劣るため、スピード勝負の全頭ブリーチなどに向いています。
ホーユー プロマスター パワーブリーチ
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スペック
1剤:2剤 = 1:2の基本設定で、30分で17レベル相当まで到達する高い脱色力を持ちます。
コントロール・持続型
複雑な履歴や、リタッチのディバイディングライン(境目)を攻める際に真価を発揮します。
ナプラ アクセスフリー パウダーブリーチ
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スペック
30分まで「一定のスピード」でリフトが進むよう設計されています。 -
メリット
急激な発泡や過剰反応が起きにくいため、「あと5分置いたらどうなるか」が計算しやすく、タイムマネジメントが容易です。
タマリス フローム ブリーチ
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スペック
通常のパウダーブリーチより初速を抑え、緩やかなリフト力を長時間キープします(60分放置で+1レベル上昇)。 -
メリット
あえて初速を遅くすることで、塗り始めと塗り終わりの明度差(ムラ)が出にくく、多毛の方やホイルワークに最適です。
シュワルツコフ ファイバープレックス クレイブリーチ
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スペック
ファイバープレックス パウダーブリーチより1.5 ~ 2レベルマイルドなリフト力。
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メリット
「カオリン(クレイ成分)」が穏やかな反応を促すため、既染部へのオーバーラップ時にダメージを抑制します。
粘性・操作性の深層分析:膨潤と乾燥のコントロール
「塗りにくい」は「ムラ」の原因。
各社の粘性コントロール技術を比較します。
「膨らまない」技術:リタッチの失敗を防ぐ
タマリス フローム ブリーチ
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テクノロジー
「ペクチン(果物由来のゲル化剤)」と「グァーガム」を配合。 -
効果
薬剤が膨潤(膨張)しにくい設計になっています。
これにより、リタッチ時に薬剤が既染部にはみ出して断毛するリスクを物理的に軽減します。
また、紫色のパウダーが補色効果と塗布量の視認性を高めます。
シュワルツコフ ファイバープレックス クレイブリーチ
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テクノロジー
独自の高粘度クレイ処方。 -
効果
塗布した部分以外への薬剤浸透を防ぎます。
狙った部分だけに留まるため。バイレヤージュやハイライトの塗分けが驚くほど簡単になります。
「乾かない」技術:反応を止めない
アリミノ ブリーチ120
アリミノ ブリーチ OXと併用することで、ブリーチ力・操作性・ケア力を実現。
粉っぽさがなく、クリーミーな状態を維持。
塗布時の摩擦を軽減し、乾燥による反応停止を防ぎます。
- ブリーチ力
- 操作性
- ケア力
ウエラ ブロンダープレックスH
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テクノロジー
キサンタンガム(保水力)とソルビトール(天然糖アルコール)の配合。 -
効果
放置時間30分後も泡がつぶれず、クリーミーな粘性をキープします。
目的別・プロの推奨レシピ&使い分け
失敗しないための具体的な運用法です。
シチュエーションA:【残留色素除去(脱染)】
過度なダメージを与えず、前のカラーの残留色素だけを取りたい場合。
アリミノ ブリーチ120 + OX 1%
比率:1剤:2剤(OX 1%) = 1:2
通常、ブリーチの2剤は6%ですが、アリミノは「OX 1%」を用意しています。
これにより、ブリーチ力を抑えつつ、脱染(色素除去)にフォーカスした施術が可能。
ハイブリーチ毛のメンテナンスに最適です。
タマリス フローム ブリーチ + AC3%
比率:フローム:AC3% = 1:5(しっかり取りたい場合)または 1:10(少し取りたい場合)
アルカリキャンセル効果のあるAC3%と、倍率(1:5 〜 1:10)を変えることで、リフト力をコントロールしながら残留色素を除去できます。
シチュエーションB:【ブリーチオンブリーチ(2回目)】
すでに明るい髪を、断毛させずにホワイト領域へ持っていきたい場合。
シュワルツコフ ファイバープレックス クレイブリーチ
1回目にパウダー、2回目にクレイを使用することで、システイン酸(ダメージの指標)の生成を抑え、キューティクルを保護しながらリフトできるというデータがあります。
シチュエーションC:【コスト重視のベース作り】
ナプラ アクセスフリーパウダーブリーチ
g単価5.8円という高コスパに加え、30分まで一定速度でリフトするため、スタッフ間での技術差が出にくい「サロンの標準薬」として最適です。
まとめ:最強の布陣はこれだ!
全てのシーンを1つのブリーチで賄うのはリスクがあります。
以下の3種を揃えるのが、現代のサロンワークにおける「最強の布陣」と言えるでしょう。
- 攻めの1本:ウエラ ブロンダープレックスH(圧倒的リフトとケアの両)
- 守りの1本:タマリス フロームまたはシュワルツコフ クレイ(リタッチ、履歴修正、デザイン用)
- コスパの1本:ナプラ アクセスフリー(日常使い、トーンアップ用)
これらの特性を理解し、お客様の髪の状態に合わせてパズルのように組み合わせることで、デザインのクオリティとサロンの利益を最大化できるはずです。