アウトバスケアは、サロンの仕上がりを維持し、お客様の満足度を高める上で非常に重要なステップです。
今回は、リトル・サイエンティストから展開されている高機能エマルジョン、「リケラエマルジョン」と、新発想の「髪質ケア」を提案する「トイトイトーイ シルキーエマルジョン」について、その目的、対象毛、サロンでの使い分けを詳しく解説します。
これらのエマルジョンは似ているようで、アプローチする髪の根本的な問題が異なります。
適切な製品を選ぶことで、より深く、より的確にお客様の悩みを解決に導くことができます。
根本的なアプローチの違い:「ダメージ」か「髪質」か
まず、両製品の製品哲学とアプローチの核となる「目的」を理解することが、使い分けの第一歩となります。
| 製品名 | 主な目的とアプローチ | ターゲットとする根本問題 |
| リケラエマルジョン | ダメージ補修と内部骨格の構築・補強 | 日常生活、ケミカルダメージ、エイジングによる髪内部のケラチン骨格やCMC骨格の乱れ |
| トイトイトーイ シルキーエマルジョン | 継続的な髪質ケアと外部補修 | 髪本来の悩み(生まれつきのクセやうねり)によるキューティクルの機能不足、髪の「呼吸の乱れ」 |
リケラエマルジョンは、主にダメージを負った髪にアプローチします。
カラーやパーマの施術によるダメージ や、エイジングによるダメージ に対して、髪内部のケラチン骨格とCMC骨格を構築し、補修・補強することを目指しています。
一方、トイトイトーイ シルキーエマルジョンは、ダメージ補修で終わらせない「髪質ケア」という新発想に基づいています。
雨の日や湿度の高い日に髪がまとまらない原因とされる「髪の呼吸の乱れ」(髪内部の水分を均一に保てない状態) や、髪本来が持つ骨格の「ゆがみ」」に着目し、キューティクルの機能不足をサポートすることを目的としています。
対象となる髪質(対象毛)と仕上がりの違い
お客様の髪質や求める質感によって、どちらのエマルジョンが最適かが決まります。
リケラエマルジョンの対象毛と仕上がり
リケラエマルジョンは、以下のようなお客様に特におすすめです。
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対象毛 / 悩み
カラーやパーマによる髪のダメージが大きい人。
硬毛で、やわらかい髪にしたい人。
エイジング毛で、さらにダメージした髪。
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仕上がり
しっとりしなやかで、まとまりのある髪。
リケラエマルジョンは、内部骨格から補修することで、ダメージと硬さを改善し、しっとりとした質感を目指します。
エイジングケアとしての側面も持ちます。
トイトイトーイ シルキーエマルジョンの対象毛と仕上がり
シルキーエマルジョンは、トイトイトーイラインのアウトバスとして追加されたアイテムです。
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対象毛 / 悩み
太毛、剛毛、爆毛といった髪本来の扱いにくさに悩む方。
ドライヤーやヘアアイロンの熱ダメージから髪を守り、補修したい方。
髪に柔らかさと保湿感を与え、外部補修をしたい方。
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主な機能
ドライヤーの熱を味方にして、キューティクルを整え、ツヤと指通りを向上。
熱を利用して髪を補修する機能(γ - ドコサラクトン配合)。
キューティクルの開閉機能サポート、水分保持機能、高密着な保護膜によるバリア機能UP。
シルキーエマルジョンは、熱を利用して外部を整え、硬い髪や広がる髪に柔らかさと保湿感を与えることに長けています。
サロンワークでの応用(プロ向け活用法)
サロンワークにおいては、両製品ともアウトバスとして使用できますが、リケラエマルジョンはさらに幅広く活用できます。
リケラエマルジョンのプロユース
- 熱処理前の保護:パーマやストレートパーマなどの熱を加える前に使用。
- 仕上け剤として:ドライ、ブローなどの前に使用。
- 希釈剤ベースとして:リケラリノベーター(クリームタイプ)の希釈剤ベースとして使用(リノベーター1に対してリケラエマルジョン1 〜 3の割合が目安)。
トイトイトーイ シルキーエマルジョンのプロユース
- 仕上げ用エマルジョン:タオルドライ後、ドライヤーの熱を味方にしてツヤと指通りを向上させる仕上げ用に使用。
- 髪質コントロール:特に太毛、剛毛、爆毛で柔らかさとしっとり感を出し、スタイリングの持ちを向上させたい場合に適用。
最適なエマルジョン選択のポイント
お客様が抱える悩みが「外部からのダメージとエイジング」による骨格の乱れであれば、髪内部の再構築を主眼とするリケラエマルジョンをおすすめください。
悩みが「生まれ持った髪質の扱いにくさや広がり」であり、熱を利用した柔軟な外部補修と水分バランスの安定化が求められる場合は、トイトイトーイ シルキーエマルジョンが最適です。
例えるなら、
リケラエマルジョンは、地震でダメージを受けた建物の基礎や柱を修復・強化するプロの建築家のような役割を果たします。
一方、トイトイトーイ シルキーエマルジョンは、建物全体の気密性や外装を整え、湿度の変化に負けない快適な状態を維持する調整役のような役割を持ちます。
お客様の「今」の髪の状態と、理想の質感に応じて、この2つのエマルジョンを使い分け、最高の仕上がりを実現してください。