クセ毛の毛髪構造 ・ ダメージレベルは人それぞれ。
放置時間の調整や同じ還元剤のパワーだけで、薬剤選定していませんか?
クセ毛を攻略するためにはクセ毛の原因を理解することが大切です!
クセ毛の原因と、その対処法をしっかり把握して素材にあった薬剤選定 ・ 工程を理解し、お客様に質の高いストレートパーマをご提案しましょう!
よくある失敗例
縮毛矯正で、アイロン前や仕上げのブローでうねりが出てきた..
縮毛矯正でよくある失敗の一つに、強い1剤を使ってアイロン操作した段階ではきれいなストレートだったのに、仕上げにブローしてみるとクセ毛が戻ってきたり、必要以上にダメージを与えたり...
これは、クセ毛の原因を把握していないために起こるミスがほとんどです。
クセの種類は大きく分けて2種類
2種類あるクセ毛の見分け方
乾いているクセ毛を濡らすと特徴が出てきます。

濡らしてもクセはそのまま
シスチン結合(S - S)が強く影響しているクセ毛
毛髪成長時の毛穴のカタチが主な原因

毛球部で生まれたばかりのケラチンはS - S結合が切断された状態「完全還元状態」であり、固定部で空気に触れることで酸化され、硬くなり髪が形成されます。
シスチン結合型クセ毛の毛穴の特徴として、図のように毛穴がカーブしたり、歪んでいるため、曲がった状態で固定され、クセ毛となる。
このようなクセ毛はチオなどの親水性の強い還元剤で十分に還元して、酸化剤でまっすぐに固定すればストレートになります。
意外と素直で扱いやすいS - S結合は親水性の性質を持つ還元剤で対応
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親水性還元剤
チオグリコール酸、システイン、サルファイト
濡らすとクセがのびる
水素結合が強く影響しているクセ毛
パラ ・ オルト 2種類のコルテックスが混在
コルテックスにムラがあり細毛で乾燥毛の方に多く見られる。
加齢・産後などに急にうねりが出るのも血液量のムラが原因とされ、成長時に血液が多く供給された場合はパラよりに、血液量が不足した場合はオルトよりになります。
1種類の還元剤では均等に還元されないため、あらかじめシステアミンなどの疎水性の還元剤でプレ還元し、硬いパラコルテックスを軟らかくしておくことがポイントです。

プレ還元でパラコルテックスを!
次にオルトコルテックスを還元するW(ダブル)還元がおすすめです
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疎水性還元剤
システアミン、チオグリセリン、ラクトンチオール
結合の種類で作用する還元剤が違う!
S - S結合には軟らかく、水を吸いやすい親水性のS1と、硬くて水の入りずらい疎水性のS2があり、還元剤の種類によって、それぞれ作用する場所が違います。

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S1とは
親水性領域のS - S結合。
S - S結合の周りに水素結合や、イオン結合が多く、チオなどの還元剤が水やアルカリによって、簡単に到達できる環境。 -
S2とは
疎水性領域のS - S結合。
疎水結合が多く、水やアルカリに影響を受けないため、親水性の還元剤(チオ)が到達しにくい環境。
S - S結合が強く影響している【波状毛】は親水性還元剤によるシングルプロセスで。
前処理 ➔ 1剤塗布 ➔ 放置 ➔ 還元チェック ➔ 水洗 ➔ 中間処理 ➔ ドライ ➔ アイロン操作 ➔ 2剤塗布 ➔ 後処理 ➔ 水洗 ➔ 仕上げ
水素結合が強く影響している【うねり毛】はW(ダブル)還元がおすすめです。
前処理 ➔ プレ還元1剤塗布 ➔ 放置 ➔ 還元チェック ➔ 水洗 ➔ 中間処理 ➔ 本還元1剤塗布 ➔ 還元チェック ➔ 水洗 ➔ 中間処理 ➔ ドライ ➔ アイロン操作 ➔ 2剤塗布 ➔ 後処理 ➔ 水洗 ➔ 仕上げ
W(ダブル)還元
- プレ還元 : プレ還元でパラコルテックスを還元しておく

- 本還元 : 低アルカリの親水性還元剤でS1を切り均等に還元する

疎水性の還元剤でパラコルテックスのS2を切り、パラとオルトコルテックスを同じ状態にそろえておくことで均等に還元される。
W(ダブル)還元のメリット
効率よく還元させる為、強い薬剤に頼ることなく、ダメージを抑えた施術が可能です。
還元不足で無理なアイロン操作による過度なダメージやキューティクルの損傷 ・ 硬化を防ぎます。
やわらかい質感と、次回提案のパーマやカラーの施術の妨げにもなりません。
ストレート施術の基礎
空気酸化について
空気酸化とは空気中の酸素によりS - S再結合が進むことです。
還元を成功させても不用意に曲がった状態のまま空気酸化が進みS - S再結合してしまうことで仕上がりにクセがでてしまいます。
例えば、1剤をシャンプー台で洗い流す際にシャワーに空気が多く含まれる状態で洗うことでS - S再結合が生まれてしまいます。
また1剤を流した後にコームなどでストレートに整えずに髪が曲がった状態で放置されれば、肩の形で空気酸化による固定が進みます。
したがって、1剤の流しからアイロン施術までの流れは素早く行うことが大切です。
熱による毛髪の変化と癒着
アイロンストレート施術では、アイロン熱を用いてクセ毛の形状で曲がっていたキューティクルを直毛に沿うように整えながらツヤと形状安定を付与します。
1剤の還元を均等に行うことは重要ですが、ストレートした髪には内部コルテックス内にダメージによる吸水ムラが生まれており、2剤の浸透時に吸水ムラによる変形と再結合が同時に起こる可能性があります。
アイロンの第1の目的は、その内部変形をキューティクルケラチンの熱硬化で外部から抑え込み、全体の変形を最小限に留め、2剤で髪のクセが戻らなくすることにあります。
アイロンの第2の目的は、ケラチンのガラス転移温度を利用してコルテックスやキューティクルの形を戻らないように変形させることにあります。
例えば板ガムを考えた場合、ある温度まで温めると板ガムは柔らかくなり、変形させた後でまた温度を下げると固まり、元の形に戻らなくなります。

この物質の形を可逆的に変えることができる温度のことをガラス転移温度といい、物質によりその温度は異なります。
ケラチンタンパク質の場合、ドライの状態で110℃ ~ 150℃ぐらいが可逆的なガラス転移温度であり、150℃を超えると黄色く変性して不可逆的な炭化が始まります。
このガラス転移温度で髪を柔らかくしながら、髪をまっすぐにするのがアイロンの目的です。
しかし、わずかな時間のアイロン操作でガラス転移温度に上げることは非常に困難であり、逆にアイロンでプレスすると150℃を簡単に超えて炭化させてしまう危険性もあり、アイロンの温度管理は非常に難しいと言えます。
また衣服のアイロンでも分かるように、完全ドライしたウールのスカートのシワをアイロンで伸ばすのは困難ですが、霧吹きや蒸気で少し濡らしておき、ガラス転移温度を下げることでシワが伸ばし易くなります。
これは、内部に残っている水を利用して105℃ ~ 110℃ぐらいの圧縮蒸気をアイロンで毛の内部に発生させ、その力を借りてウールのガラス転移温度を下げる方法です。

髪も同様に、圧力容器のような密閉された構造であることを利用し、アイロン前の乾燥を8割ドライ(髪の表面が乾き、内部に水感がある状態)にすることで、圧縮蒸気を髪の内部に発生させてガラス転移温度を下げることができます。
この方法は安定したストレートの状態を作り出すことができると共に、105℃以上の圧縮蒸気はSS / SH交換反応も助長することも知られており、還元不足であってもコルテックスの歪をとりながら髪を伸ばすことができます。
圧縮蒸気を髪の中で作りやすくするためには、アイロン前に髪が水を含んだ状態で70℃ ~ 80℃ぐらいに温度を上げることが必要で、例えば8割ドライした髪にアイロン余熱を沿わせることで髪の温度を上げておき、アイロンを握ることで内部に圧縮蒸気を発生させることができます。
アイロン施術による髪のチリツキは、ダメージにより過剰に膨潤したダメージ毛が、強い熱で歪み乾燥収縮することで起こります。
このような異常な髪は高温アイロン熱で発生するために、80℃ぐらいの低温アイロンでゆっくり収縮させることを選択します。
また、アイロン施術前にポリフェノールを用いて根元と同じ太さまで引きしめておくことでチリツキの予防する方法があります。
CMCが不足している場合は、アイロンの高熱によりケラチンであるコルテックス同士が癒着してしまわないようにCMCをアイロン施術前に髪へ浸透させておきます。
癒着毛になると、パーマ剤やカラー剤が浸透しなくなり、水の呼吸もできなくなるためにバサついた硬い髪質に変わってしまいます。
コテパーマ・アイロンストレート・ホット系パーマの熱処理では、癒着させないよう最大の注意が必要です。
2剤塗布時の発熱について
過酸化水素の2剤は塗布時に髪のpHが9 ~ 10近くになっている場合に過剰に活性酸素が発生して発熱します。
発熱状態の活性酸素は2剤の機能であるS - S再結合を行わず、システインをシステイン酸にまで酸化してしまいます。
また、髪を構成しているケラチン自体の主鎖も分解して強度を低下させます。
2剤の塗布時の発熱をさせないように、アイロン時の髪をpH8以下に調整しておかないといけません。
そのためにはアイロン施術前に弱い酸リンスなどで髪の残留アルカリをある程度まで中和しておく必要があります。
ただし、過酸化水素の2剤は中性から酸性ではS - S再結合ができなくなりますので、pHの下げすぎには注意しなければいけません。
参考までにpH9以上のアルカリが残留した髪に180℃のアイロンで施術をした場合、S - Sが壊れてランチオニン結合(- S -)結合が生まれ、二度と還元剤で切れない髪が生まれます。
これが癒着と合わせて、ストレートパーマした髪にウエーブがつかなくなる理由です。

縮毛矯正でクセが戻る理由
均等な還元不足
還元剤が髪の表面近くは還元したものの、 内部にクセの歪みが残ったままアイロン熱 でキューティクルを硬化させてストレート にした場合。
キューティクルの硬化がストレートの形を支えているために、ダメージによりキューティクルが脱落するにつれて内部の残ったクセの歪みが表面化して戻るというもの。
1剤を流した後のドライでクセが戻ってきた還元失敗の髪を無理やりアイロンで伸ばすとなりやすい。
湿度が高い日にヨレる
クセの部分をストレートにするために、結晶構造を崩してダメージを与えることから起こる。

中間処理を怠った施術でストレートにした髪の内部には多くの結晶構造の乱れた部分があり、この部分が水を吸いやすいために湿気でヨレる。
特にアルカリが残留している場合にはヨレが目立ちます。

オススメ縮毛矯正剤
アリミノ クオライン

質感、デザイン、想いのままに。
あらゆる髪悩みを受け止めて、理想のスタイルを叶える。
扱いやすく、しなやかで、やわらかな髪へ。
髪質のクオリティアップはもちろん、ヘアデザインをもっと楽しみたいという想いに応えます。
自分らしさを追求する、すべての人に喜びを。
クオラインは、ひとつ先のステージへ。
タマリス シキュア デコルア

なりたいスタイルで選ぶ、ヘアファンデーション
お客様は必ずなりたいスタイル、イメージを持っています。
しかし、現状は理想とするスタイルがありながらも、抱える髪質によるスタイルギャップで悩んでいます。
お手入れがしやすい、美しいヘアスタイルを作るための下地作りという発想でお客様に寄り添うアイテムを目指しました。
フォーフルール ジーニアス

サロン現場でのストレート3大問題すべて解決
- 毛髪が硬くなる・自然な丸みが出ない
- しっかり軟化できたと思ったらクセが戻った
- フェイスラインや毛先が焼ける・縮れる